「働く」を「楽しくする」ためにできることって何だろう?

リモートワークの実践で見えてきたことは? 課題・ポイント・考え方など、さまざまな角度からIncrementsのリモートワークについて聞きました。

働き方改革で注目されるリモートワークやテレワーク。総務省による『平成28年通信利用動向調査の結果』(平成29年6月8日発表)によれば、テレワークを導入している・予定している企業は16.6%とのことで、必ずしも多くはないようです。

とは言え、多くの方がリモートワークやテレワークには興味があるはず。そこですでにリモートワークを導入しているIncrementsでの実情について、これまでを振り返りながら課題や実践する上でのポイント、考え方などを聞きました。

文・聞き手/Work:Q編集部 話し手:東峰裕之

東峰裕之:IncrementsにてQiitaやQiita:Teamのデザイナー兼コミュニティマネージャとして、コミュニティの活性化に従事。


「チームのコネクションを失わずに、どのようにリモートワークを活かすか」が課題

――編集部

Incrementsのリモートワークの状況についてですが、まずそもそもIncrementsがなぜリモートワークをなぜ始めたのか。その経緯を含めて教えてください。

――東峰

リモートワークは2014年の終わりくらいから試し始めました。始めた経緯は、IncrementsのみんながGitHubが大好きで、GitHubがリモートワークをやっているということから影響されています。GitHubはワールドワイドなので、世界各地でリモートワークをせざるを得ないという感じなんですね。あとはKaizen Platformさんも始めたり、スタートアップ界隈でもリモートワークの流れがチラホラあって、僕らもやってみようってことで試しました。

最初は週1で月曜日だけだったと思います。その後、2週間だけフルリモートをやってみたら、顔見知りのメンバーだけだったこともあり、普通にできてしまったんですけど(笑)、踏み抜くべき問題を踏み抜いていないような、何か見落としている感じがしていて、その時はまた週1に戻して1年間ほど続けました。その後、遠方で働きたいメンバーが出てくるなどの事情から、勤務日ならいつでもフルリモート可能な制度を導入しましたが、現在は新しい社員が増えたこともあり、週1火曜日のみをフルリモートの日としています(※)。

※:Incrementsではフレックスタイム制 (コアタイム13:00~17:00)を設けており、その時間帯以外は申請なくいつでもリモートワークが可能。

――編集部

実際に実践してみてリモートワークのメリットについてはいかがでしょうか?

――東峰

よく言われるように、午前中は自宅で働けるので満員電車を避けられますし、1人でやるような、例えばコードを書く作業に集中したい場合、差し込みがないのでやっぱり効率はよくなりますよね。家族がいる人は、家族とのイベントを両立させやすいというのもあります。Incrementsは結構、子供のいる社員が多いので、お子さんの送り迎えだったり、学校のイベントなんかも出やすかったりするんじゃないでしょうか。

――編集部

反対にリモートワークでの課題や誤算などはなかったんでしょうか?

――東峰

顔を突き合わせてのコミュニケーションならコントロールしやすいものが、リモートワークだとなかなかうまくいかないということや、新しく入社したメンバーとのOnboardingがリモートワーク中心のチームだとやりづらいというのはありますね。

リモートワークでお互いの顔が見えなくなると、チームやほかメンバーの人となりを理解することが、顔を突き合わせて仕事をしている時に比べると難易度が上がる印象があって、チーム感の醸成はしづらくなります。

例えば、出社前提だった時は、ランチにも一緒に行ったりしてましたけど、それもなくなるし、意識していかないとチームビルディング的なことを実践する機会が減ります。オンラインだと用件だけ話して、「はい、じゃあね」ってなってしまうんですね。試しに15時にみんなで集まるオンラインの雑談タイムを作ってみたんですけど、用もないのにオンラインで集まるというのも難しくて、そのうち誰も来なくなっちゃて。

週次ミーティングや日報で仕事については把握はしているんですが、うまく言語化できないチームのコネクションみたいなものを失わずに、どのようにリモートワークを活かすかといったところが課題として残っていますね。

「リモートワークで解決できないことはオフラインで」は正しい?

リモートワークの正解と不正解

――編集部

となるとオフラインとの併用でうまく回すということになるのでしょうか。「ここはリモートワークで問題なし、ここはオフラインでコミュニケーションしよう」という線引きみたいなポイントはありますか。人によって違うようにも思うのですが。

――東峰

「リモートワークで解決できないことはオフラインで」という認識自体が、正解なのかどうなのかも考え方によって違ってくるように思います。リモートワーク前提で考えるなら、リモートワークでコミュニケーションに問題がある場合、それをどうやってリモートワークで改善していくかという考え方もありますし、リモートワークとオフラインを併用するならどうするかという考え方もあります。

――編集部

そもそもリモートワークとオフラインをどのように利用するか、決まりきったパターンがあるわけではないので、導入する会社や組織によって違ってくるということですね。

――東峰

そうですね。ただどういった場合でも、組織のマネジメント力がポイントなんだろうなとは思います。例えばオフラインでのコミュニケーションをある程度担保した形でのリモートワークにするならば、じゃあそれを仕組みとしてどのように回るようにするか、組織単位でのマネジメントが重要になってくるでしょうね。

――編集部

これまでのリモートワークの実践において、やっておいたほうがよかった点など、反省として挙げられることはありますか?

――東峰

チームでリモートワークについての振り返りをするタイミングは、もっと意識的に作っておくべきだったなと思っています。そもそもが特殊な働き方というか、一般的ではないので、リモートワークでのベストな働き方が分からない人も多いと思うんです。というか、チームにとっても未知数のことなので。

ですから、仕組みとして作っているのであれば、ちゃんと働き方として回っているのかを常に意識する必要があって、そういった意味でもマネジメントをしっかりしておくのが重要だったと思いますね。端的に言えば各メンバーの自主性に任せすぎてしまったところがあったなと思っています。

――編集部

Incrementsのリモートワークに対するビジョンみたいなものってありますか?

――東峰

「パフォーマンスを最大限に発揮できるところで仕事をしましょう」ということが理念になっています。それを会社として支援しますということにしたんですね。場所は関係なく、自分がベストなパフォーマンスを発揮できるように働くための制度「ベストパフォーマンスプレイス制度」としていたんですが、分かりにくいのでリモートワークという呼び方になった経緯があって、いまも理念としてはそこにあります。

ただ、それだけだと各自のパフォーマンスだけが優先されてしまう懸念もあり、チームでの仕事について配慮してもらうようなガイドライン(※)を用意しています。リモートワークの権利に対する義務といったところで、メンバーがチームに対して果たすべきことを明確にしています。

※:Incrementsのリモートワークに関するガイドラインについては、機会をあらためてご紹介します!

働き方の指針を明確にして、指針に根ざしたリモートワークの運用を実践したい

指針を明確にして、指針に根ざしたリモートワークの運用を実践

Incrementsの大切にしたい価値「Increments Value」。こうした指針に合わせてリモートワークを運用すべきと語る東峰さん。

 ――編集部

現在のリモートワークの状況も、新しいメンバーが増えたことによる試行みたいなニュアンスもあると思いますので伺いたいのですが、今後リモートワークをどのようにしていくかといった方向性は見えているんでしょうか。

――東峰

リモートワークに関する制度は、いまちょうど並行して考えているメンバー評価や就業規則と組み合わせて利用できるようにしていきたいので、リモートワークを実践している会社に話を聞きに行って、どうするか考えています。今日は僕がお話していますけど、就業規則のことなどもあって、コーポレート担当のメンバーが中心となって進めてくれています。

――編集部

ほかの会社に話を聞いてみてどうでしたか? 得られるものはありましたか?

――東峰

その会社では「会社として社員にはこれこれこういった働き方、考え方をして欲しい」、「その上で、リモートワークを利用したとしても、それに沿った形で成果を出してください」といったことが言われているそうで、会社としての働き方の指針を明確にして、その指針に合わせてリモートワークも実践しているといったことをお聞きしました。

「会社と働く人との約束」といった指針に根ざしてリモートワークを形にしているというのは、話を聞いて学んだ点でした。先ほどの「うまく言語化できないチームのコネクションを失わない」というのも、こういった指針があれば解決できるかもしれません。

Incrementsにも指針となる「Increments Value」というのはあるのですが、まだまだ社内で浸透していない概念なので、その点も合わせて考えていかないとなと感じました。

――編集部

これからリモートワークを始めたいと思っている会社にアドバイスするとしたら、何がありますか?

――東峰

これだけオンラインツールが豊富な時代ですから、なんとなくやろうと思えば、ある程度はできてしまうというのが曲者だ、ということですね。きちんと実践していくなら、「なぜリモートワークをやるのか」、それは従業員のワークライフバランスかもしれませんし、うちのようにパフォーマンスの最大化かもしれませんし、いろいろあると思いますが、目的を設定することがまず重要です。

また会社や組織の理念と紐付けて、リモートワークでも理念が担保されるようにする、導入してからの振り返りの場を作るといったことも必要ではないでしょうか。あとは、細かいですが機材をケチるのはやめたほうがいいですね! カメラやマイクはちゃんとしたものを用意して、オンラインのコミュニケーションの質は担保したほうがよいです。

――編集部

機材もそうですし、検討されている方にとっては、リモートワークに関する情報は欲しいですよね。東峰さんはリモートワークに関してのイベントをされていたりするので、ご存知だと思うのですが、何か参考になるサイトなど教えてもらえますか?

――東峰

リモートワークに関する情報は自分自身でも集めていて、wikiを立ち上げています。リモートワーク可能な会社の一覧をGitHubで公開されている人もいますね。

実はイベントをやる前までは「リモートワークをしていても、オフラインでのコミュニケーションを増やすべき」と思っていたんですが、このイベントで発表してくれた方が「リモートワーク/オフライン問わず、コミュニケーションそのものを減らしたやり方を実践しましょう」といった内容で、「そういった方向もあるのか」と視野が広がりました。

もちろんどの会社でもできることではないのですが、リモートワークにも多様な形があるという認識を持って、メンバー間で話し合いながら実践していくのがいいのではないでしょうか。今後、リモートワークに関する知見や考え方をこれからも共有していきたいので、随時、イベントを開いていきたいと思っています。興味のある方はぜひ参加してください。

――編集部

その時は取材に伺わせていただきます! 本日はありがとうございました。


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